症例2:肺炎
肺炎のため救急搬送された患者さんが、抗菌薬療法を行い全身状態はある程度安定した。しかし、高齢のため摂食嚥下機能が低下しており経口摂取は不安定で高カロリー輸液が必要であった。また、喀痰が多いため頻回な喀痰吸引が必要であった。
この患者さんの場合、肺炎発症から抗菌薬療法を行いある程度病態が安定した頃までが急性期医療、その後の医療が慢性期医療となります。
今までは病気に罹患しても、急性期病院で患者さんを治療し「治す」ことで概ね退院ができていました。すなわち急性期医療で医療は完結していました。しかし、超高齢社会の現在では、慢性疾患をいくつも抱えながら生活せざるを得ない患者さんが増えてきたため、急性期医療で完結できず、慢性期医療から介護・福祉とも連携することが不可欠となってきたのです。「治し支える」ことへの転換が重要になってきたといえるでしょう。
急性期医療から慢性期医療へのシームレスな関係がなければ、その先の介護・福祉との連携も難しくなっていきます。
つまり、慢性期医療は、これからの超高齢社会において極めて重要な役割を担うことになるのです。