慢性期医療への思い

より良い慢性期医療を目指した環境づくりをしています

野村病院 理事長
野村 祐介

自分が入院したいと思う病院へ

1967年開院の野村病院は、地域医療に貢献することを病院理念に、一貫して慢性期医療に携わってきました。
私が医学部5年生だった1999年に初めて野村病院の建物内へ入りましたが、その第一印象は決して良いものではありませんでした。増築に増築を重ねたためか内部に光が入りにくく、暗いと感じたことを覚えています。また、8人部屋であり療養環境として完璧とは言いがたい印象でした。
これをきっかけに「自分が野村病院に関わるようになったら、慢性期医療に対する印象を変えるんだ」という思いを強く持ちました。
その決意どおり、2012年に私が理事長となり、野村病院の舵を取ることになりました。
私の目指すところは「自分が入院したいと思う病院」です。

「老人病院」から「治療を行う慢性期病院」へ

言うは易く行うは難しで、どうやって目指すところに到達するかが問題でした。
まずは、いわゆる老人病院からの脱却を図る必要がありました。治療を行う慢性期病院として、受け入れ可能な患者層を徐々に広げていくことから改革をスタートさせたのです。医療スタッフの協力があり、中心静脈栄養患者から始まり、輸血療法、慢性心不全や呼吸不全に対する酸素療法、気管切開、人工呼吸管理、悪性腫瘍の疼痛管理など様々な患者さんを受け入れるようにしてきました。

また、2017年5月からは末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)も導入しました。我が国では中心静脈カテーテル挿入における穿刺時の致命的な合併症が大きな問題点となっており、2017年3月には日本医療安全調査機構より医療事故の再発防止に向けた提言第1号として、「中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析」が報告されました。この中で、中心静脈カテーテル挿入の適応については、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)による代替を含め慎重に決定するよう提言がありました。このため、野村病院ではより安全に処置を行うために穿刺用超音波を用いて末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)を挿入し、中心静脈栄養を行うようになりました。
これらの改革により、従来の社会的入院のイメージがある「老人病院」から「治療を行う慢性期病院」へと転換していきました。

再構築

次に、過去の暗い印象を払拭する必要がありました。私が大学病院や地域基幹病院で勤務してきた経験から、自分たちは間違った医療はしていないという自負がありましたので、SNSや地域基幹病院への挨拶回りで積極的に情報を発信していくことにしました。野村病院は新築移転により全室個室となったため、患者さんや患者さん家族が余計なストレスを感じることなく、プライバシーが守られた療養環境であることや、南側には約4,000m2の病院庭園が広がり、庭園内には小川や池・散策路・温泉を利用した足湯・花壇・菜園などがあり、患者さんにとって優れた療養環境であることもアピールしました。

「地域」そして「医療従事者」から選ばれる病院へ

最近では、従来からの「地域から選ばれる病院」づくりに加え、「医療従事者から選ばれる病院」づくりを基本方針に掲げています。具体的には、年間休日の多さ(年間休日123日)、残業ゼロ運動、学会手当や資格手当等によるモチベーションアップ、ハラスメント外部窓口の設置、人事評価制度の再構築、業務改善等があります。
「地域から選ばれる病院」そして「医療従事者から選ばれる病院」づくりを進めていく中で、地域及び医療従事者からの評判は上がってきていると思いますし、職員それぞれが「自分が入院したいと思う病院」になるよう、慢性期医療の質を上げていければと思います。

プロフィール

所属学会 日本内科学会、日本循環器学会、日本老年医学会
日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会
日本心臓リハビリテーション学会
専門資格 総合内科専門医、循環器専門医、老年科専門医・指導医、消化器病専門医
消化器内視鏡専門医、胃腸科専門医、心臓リハビリテーション指導士
日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター、臨床研修指導医
略歴
平成13年
金沢医科大学 医学部卒業
金沢医科大学 循環器内科入局
平成17年
石川医療技術専門学校 循環器内科非常勤講師
平成18年
金沢医科大学大学院 内科学Ⅰ修了(医学博士)
金沢医科大学 循環器内科 医員
平成19年
金沢医科大学 循環器内科 助教
金沢医科大学附属看護専門学校 循環器内科非常勤講師
平成21年
JA長野県厚生連 佐久総合病院 胃腸科
平成24年
JA埼玉県厚生連 熊谷総合病院 内科(消化器内科)
平成25年
富山大学附属病院 第三内科 医員
富山県済生会富山病院 内科(消化器内科)
平成26年
JA埼玉県厚生連 熊谷総合病院 内科(消化器内科)
平成28年
医療法人 熊谷総合病院 内科(消化器内科)
令和 3年
医療法人 熊谷総合病院 副医局長
令和 4年
医療法人 熊谷総合病院 医局長