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慢性期医療の魅力

「点」ではなく「面」で患者さんと向き合える仕事です

野村病院 理事長・CEO
野村 祐介

慢性期医療の魅力について、野村病院理事長の野村祐介がご説明していきます。

医療の道を選んだ方々の多くは、「人を助けたい」や「人の役に立ちたい」という思いがきっかけだったと思います。
私も「人を助けたい」という思いをもち医学部に進みました。
詰まった冠動脈をカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)で広げて患者さんに感謝されたり、早期癌に対して内視鏡的に切除(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)して患者さんに喜ばれたりすることは急性期医療の魅力です。

一方、慢性期医療では慢性疾患をいくつも抱えながら生活せざるを得ない患者さんが多いため、全身管理が必要になります。その中で今までのキャリアを生かせる場面は多く、私の場合だと、超音波下の血管穿刺(PICC)や嚥下内視鏡検査(VE)などがそれにあたります。また、野村病院は治療を行う慢性期病院であり、貧血で全身状態が不良であった患者さんが酸分泌抑制薬(PPI)とともに輸血療法で全身状態が改善したり、肺炎で敗血症性ショックとなった患者さんが昇圧剤と抗菌薬療法で全身状態が改善したりすることも経験します。
患者さんと患者さん家族が向き合える時間をできるだけ長くとれるよう全身管理をしていくなかで、患者さん家族から感謝されることも多く、それはやりがいになります。
患者さんの長い人生の中で、急性期医療は「点」での付き合いですが、慢性期医療は「面」での付き合いになります。
今までのキャリアや専門性を生かしながら、「人を助けたい」や「人の役に立ちたい」という思いを断ち切ることなく全身管理が行え、患者さんと患者さん家族が向き合える時間を大切にすることができるのは慢性期医療の魅力です。